競合監視2026年8月3日

競合分析のやり方|3ステップとフレームワークの使い分け

競合分析のやり方を、決める・集める・比べるの3ステップで解説します。比較する軸の決め方、使えるフレームワークの選び分け、そのまま使える比較表のかたち、分析を打ち手につなげるまでを実務に沿ってまとめました。

著者:商陣編集部

競合分析をやろうとして、まず競合のサイトを開いて情報をコピーし始める。この入り方をすると、数時間経っても終わらず、集めた情報の使い道も見つかりません。原因は順番にあります。

この記事では、競合分析を「決める・集める・比べる」の3ステップに分けて、それぞれで何をするかを具体的に解説します。フレームワークの使い分けと、分析を打ち手につなげるところまで含めてまとめました。

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分析が終わらない原因は「集める」から始めること

競合分析でいちばん多い失敗は、何を判断したいのかを決めないまま情報収集を始めることです。判断軸がないと、目に入った情報を片っ端から集めることになり、量だけが増えていきます。

そして集め終わったころには、何のために始めたのか分からなくなっています。整った比較表はできたけれど、それを見て何をするのかが決まらない——という状態です。

順番を変えるだけで、この問題はかなり解消します。先に「何を判断したいか」と「比べる軸」を決めてしまえば、集める情報は自然に絞られ、比べた結果がそのまま判断につながります。

競合分析の3ステップを示した図。決める、集める、比べるの3工程が並び、それぞれで何をするか、かける時間の目安、つまずきやすい点が整理されている。
図:競合分析の3ステップ。「集める」から始めると終わらなくなる。

ステップ1:決める(30分)

最初の30分で、目的・軸・対象の3つを決めます。ここが決まれば、残りの作業は機械的に進みます。

判断したいことを1つ書き出す

「競合を知りたい」は目的ではありません。「値上げしても大丈夫か」「この機能を作るべきか」「営業の切り返しトークをどう用意するか」——このくらい具体的にします。

2つ以上あるなら、2回に分けてください。目的が複数あると軸が混ざり、どちらの判断にも使えない表ができあがります。

比べる軸を3〜5個に絞る

軸は目的から逆算します。価格の判断なら価格体系・最低契約期間・値引きの余地。機能の判断なら機能の有無・実装の深さ・対応している業種。10個並べても読まれないので、5個までに抑えます。

対象を3〜5社に絞る

実際に商談で当たる相手から選びます。「気になる会社」ではなく「失注の理由になった会社」を優先すると、分析の実用度が上がります。営業に直近半年の失注先を聞くのが最短です。

対象を決めたら、その企業を監視ツールに登録しておくと、次回以降の「集める」がほぼ不要になります。商陣が開発しているリアンカーなら、登録した競合の発表が毎朝まとめて届きます。無料プランで3件まで試せます。

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ステップ2:集める(2〜3時間)

決めた軸の情報だけを集めます。軸に関係ない情報は、面白そうでも拾いません。

一次情報を優先する

まとめ記事や比較サイトではなく、競合の公式ページ、プレスリリース、ヘルプ、料金ページを見ます。二次情報は古いことが多く、条件が抜けていることもあります。

特に価格は要注意です。比較サイトに載っている金額が現在の価格とずれているケースは珍しくありません。必ず公式の料金ページで確認してください。

情報源ごとに何が取れるか

情報源取れるもの注意点
料金ページ価格体系、プラン構成、最低契約掲載されていない条件がある場合も
機能一覧・ヘルプ機能の有無、実装の深さ書かれていても実用に耐えるかは別
導入事例狙っている顧客層、規模感成功例だけが載っている前提で読む
プレスリリース新機能、提携、調達、体制発表日と実行日がずれることがある
更新履歴開発の頻度と方向公開していない企業もある
求人ページ今後投資する領域推測が入るので断定しない
軸に対応する情報源だけを見る。全部を開くと時間が溶ける。

日付とURLを必ず残す

半年後に見返したとき、いつ時点の情報かが分からないと使えません。取得日とURLをセットで記録してください。価格やプランは変わるので、この記録が後から効いてきます。

ポイント

2回目以降の分析では、この「集める」工程がいちばん軽くなります。日常的に監視の仕組みを回していれば、直近の変化はすでに手元にあるからです。分析を年に何度もやるなら、監視を先に整えるほうが総時間は短くなります。

ステップ3:比べる(1時間)

集めた情報を軸ごとに横並びにします。ここで凝った資料を作る必要はありません。

そのまま使える比較表のかたち

自社A社B社差の意味
価格(月額)◯◯円◯◯円◯◯円安い層でどこと当たるか
最低契約期間なし1年なし解約しやすさは訴求になるか
対象規模中小中堅〜大手中小顧客層が重なるのはどちらか
主要機能の差◯◯ありなし商談で聞かれる可能性
直近の動き6月に調達動きなし今後半年で何が起きそうか
いちばん右の「差の意味」を書かないと、表は判断に使えない。

重要なのは右端の列です。事実を並べただけでは判断できません。「この差があるから、うちはこう動く」という解釈を1行だけ添えてください。全部の行に書く必要はなく、差が出ている行だけで十分です。

自社の欄を必ず入れる

競合だけを並べた表は、意外と使えません。自社を同じ軸で並べて初めて、どこで戦えていてどこで負けているかが見えます。自社の欄を埋めるときに、社内でも認識がずれていることに気づく場合もあります。

監視する競合を3層に分けた図。直接競合、間接競合、新規参入の3つについて、監視する社数の目安、確認する頻度、追う情報の種類が整理されている。
図:競合を3層に分けると、監視の濃さを変えられる。

フレームワークの使い分け

競合分析のフレームワークは数多くありますが、全部を使う必要はありません。目的に対して1つ選べば十分です。

フレームワーク向いている問い使いどころ
比較表(機能・価格)商談で何を聞かれるか日常。いちばん使用頻度が高い
3C自社はどこで勝てるか年1回、方針を見直すとき
SWOT強み弱みをどう扱うかチームで認識を合わせるとき
ポジショニングマップ市場のどこが空いているか新製品や訴求を考えるとき
ファイブフォースこの市場は儲かるか新規参入を検討するとき
日常業務で使うのはほぼ比較表。他は節目に1つ選んで使う。

フレームワークを埋めること自体が目的になると、時間だけが消えます。「この枠を埋めたら何が分かるのか」を先に確認してから使ってください。分からないなら、その枠は今回不要です。

やりがちな3つの遠回り

時間がかかる分析には、共通した遠回りがあります。心当たりがあれば、そこを削るだけで半分の時間で終わります。

遠回り1:競合の全機能を一覧にする

機能を100項目並べた表を作っても、商談で聞かれるのはそのうち5つ程度です。全部を埋めようとすると数日かかり、しかも1か月で古くなります。

実際に聞かれた機能だけを営業から集め、その項目だけ比較してください。項目は増やすものではなく、聞かれた実績で足していくものです。

遠回り2:資料の体裁を整える

配色を揃え、図を作り、ページを整える。ここに数時間かけても、判断の質は上がりません。表と1行の見立てがあれば、判断には十分です。

整った資料が必要になるのは、社外や経営会議に出すときだけです。その場合も、判断が決まってから清書すれば足ります。

遠回り3:情報が古くならないよう常時更新する

毎週表を更新しようとすると、それだけで作業になります。日々の変化は監視の通知で受け取り、表への反映は月1回まとめてで構いません。

商談の直前に最新かどうかが気になるなら、表そのものより「直近の動き」の欄だけ見るようにしてください。そこが新しければ、全体が古くても実用に耐えます。

分析を打ち手につなげる

比較表ができたら、そこから何をするかを決めます。ここまでやって初めて分析が業務になります。

  1. 1差が出ている行を2〜3個選ぶ
  2. 2それぞれについて「やること」を1行書く
  3. 3追随しないと決めたものは「やらないこと」として明記する
  4. 4担当と期限を付ける
  5. 5次に見直す日をカレンダーに入れる

「やらないこと」を書くのがコツです。競合が持っている機能を全部追いかけると、自社の強みが薄まります。追わない判断を記録に残しておくと、次に同じ議論をしなくて済みます。

チームで競合情報を回す運用フロー。通知の受け取り、一次確認、社内共有、月次の振り返りの4工程と、それぞれの担当と頻度が示されている。
図:情報を個人技にしないための、チーム運用の型。

分析の頻度をどう決めるか

競合分析は毎月やる必要はありません。頻度を上げても、変わるものが少ないからです。

本格的な分析は四半期に1回

比較表を作り直し、軸そのものを見直すのは四半期に1回で足ります。市場の構造がそれより速く変わることは稀です。

差分の更新は月1回

監視で拾った変化を、既存の表に書き足すだけの作業です。30分で終わります。表を作り直すのではなく、更新するという発想にすると負担が減ります。

日々の変化は監視に任せる

毎日の発表や機能追加は、人が確認しに行くものではありません。通知で受け取り、重要なものだけ表に反映する。この分担にすると、分析にかける時間そのものが減ります。

「日々の変化は監視、節目に分析」という分担を作るなら、リアンカーのような仕組みを土台に置くと運用が軽くなります。拾った発表はクリップして残せるので、四半期の分析時にそのまま素材として使えます。

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競合分析の進め方チェック

  • 判断したいことを1つに絞った
  • 比べる軸を3〜5個に決めた
  • 対象を3〜5社に絞った(失注先を優先した)
  • 一次情報から集めた(比較サイトを鵜呑みにしていない)
  • 取得日とURLを記録した
  • 比較表に自社の欄を入れた
  • 差が出ている行に「差の意味」を書いた
  • やること・やらないことを決めて担当を付けた

まとめ:軸を決めてから集める

競合分析は、決める30分・集める2〜3時間・比べる1時間の順で進めれば半日で終わります。終わらなくなるのは、軸を決めずに集め始めたときです。

そして2回目からは、日常の監視が「集める」を肩代わりしてくれます。分析を続けるつもりがあるなら、先に監視の仕組みを整えておくほうが総時間は短くなります。監視の基本は競合監視とは?、レポートにまとめる形は競合分析レポートの作り方で扱っています。

よくある質問

Q. 競合の情報が公開されていない場合、どう調べればいいですか?

A. 料金を非公開にしている企業などは、公開情報だけでは埋まりません。その場合は、自社の失注案件で顧客から聞いた情報や、営業が商談で得た内容を記録しておくのが現実的です。推測で埋めず、「不明」と書いておくほうが資料としては誠実です。

Q. 比較表は誰に見せるのが正しいですか?

A. まず営業とプロダクトです。営業は商談で使い、プロダクトは開発の優先順位に使います。経営に見せる場合は、表そのものではなく「差の意味」と打ち手だけを抜き出したほうが伝わります。

Q. フレームワークを複数使ったほうが精度は上がりますか?

A. 上がりません。同じ情報を違う枠に入れ替えているだけになりがちです。1つ選んで、そこから出た問いに答えるほうが、判断に使える結論が出ます。

Q. 分析結果はどのくらいで古くなりますか?

A. 価格と機能は3か月で変わることがあります。市場構造やポジショニングは1年程度は持ちます。日々の監視で差分を拾っていれば、表の更新は月30分で済むので、古くなる前に直せます。

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