広報・PR2026年7月25日

広報レポート作成を楽にするツール|情報収集から報告までの型

広報の月次レポート作成にかかる時間を減らすためのツールと運用をまとめました。情報収集・記録・集計・報告の4工程のどこに時間がかかるのかを分解し、工程ごとに削減できる手段と、そのまま使えるレポートの型を紹介します。

著者:商陣編集部

月末になると、広報レポートの作成に半日から1日かかる。しかも、作った資料が読まれている実感がない——この2つが同時に起きているなら、原因はレポートの作り方ではなく、情報の集め方にあることが多いです。

この記事では、レポート作成を4つの工程に分解し、どこに時間がかかっているのかを特定したうえで、工程ごとに削れる手段を整理します。そのまま使えるレポートの型も載せました。

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レポート作成にかかる時間を分解する

「レポート作成に半日かかる」と言うとき、実際に時間を食っているのは資料を書く工程ではありません。内訳を分けると、どこを削るべきかが見えます。

工程やっていること典型的な所要時間削減の余地
収集掲載記事や競合の動きを探し直す2〜3時間大きい(自動化できる)
記録見つけたものをスプレッドシートに転記する1時間大きい(書き出しで代替)
集計件数を数え、媒体別に整理する30分〜1時間中(形式を固定すれば短縮)
執筆考察を書き、体裁を整える1時間小さい(ここは人の仕事)
時間の大半は収集と記録に消える。執筆そのものは1時間程度で済む。

つまり、レポート作成を楽にする最も効果的な方法は、月末に探し直さなくて済む状態を作ることです。日々の通知を受け取り、その場でクリップしていれば、収集の2〜3時間はほぼゼロになります。

競合情報が手元に届くまでの流れ。収集、集約、通知、共有の4ステップが左から右に並び、それぞれ手作業でやる場合とツールに任せる場合の違いが示されている。
図:競合情報が届くまでの4ステップ。どこを手作業で持つかで、続くかどうかが決まる。

工程1:収集を月末から日次に移す

月末にまとめて探すと、記事が削除されていたり、検索で出てこなくなっていたりします。日次で受け取って、その場で残すほうが確実で速いです。

自社名と競合名を同じ仕組みで受け取る

レポートに必要なのは、自社の掲載と競合の動きの両方です。別々のツールで管理すると、月末に2か所から集める手間が発生します。同じ仕組みで受け取れると、記録も1か所にまとまります。

毎朝5分でクリップする

届いた通知のうち、レポートに載せる可能性があるものだけをクリップまたは保存します。判断は5秒で構いません。迷ったら残しておき、月末に落とすほうが楽です。

商陣が開発しているリアンカーは、自社名も競合名も同じ画面で管理でき、気になった記事をクリップして残せます。スタンダードプラン(月300円)ではCSV書き出しにも対応しているので、月末の転記作業を減らせます。

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工程2:記録を転記から書き出しに変える

手作業の転記は、時間がかかるうえに間違いが混ざります。ツール側から書き出せるなら、そちらを使ってください。

書き出したデータには、日付・媒体・タイトル・URLが入っているのが一般的です。ここに自分で「種別」と「ひとこと」の列を足せば、レポートの素材としては十分です。

出どころ手入力の要否
掲載日書き出しに含まれる不要
媒体名書き出しに含まれる不要
タイトル書き出しに含まれる不要
URL書き出しに含まれる不要
対象(自社/競合名)書き出しに含まれることが多い確認のみ
種別(転載/独自取材)自分で判断必要
ひとこと自分の見立て必要(重要な数件のみ)
手入力が必要なのは2列だけ。しかも全件に書く必要はない。
通知設計の3パターン比較。リアルタイム通知、朝まとめ通知、ダッシュボード確認のそれぞれについて、気づく速さ、読まれやすさ、埋もれるリスクが比較されている。
図:通知の届け方3パターン。速さと読まれやすさはトレードオフになる。

記録の項目を最初に決めておく

毎月違う項目を記録していると、年次の振り返りで集計できません。最初に項目を固定してしまうのが、後々いちばん効きます。

増やしすぎない

記録項目が10個を超えると、入力そのものが負担になり、次第に空欄が増えます。実際にレポートで使う項目だけに絞ってください。使っていない項目は、思い切って削るほうが運用は安定します。

自由記述は1列だけにする

「ひとこと」の列を複数用意すると、書き分けに迷って手が止まります。自分の見立てを書く欄は1つに絞り、しかも重要な数件だけに書けば十分です。

後から足せる形にしておく

スプレッドシートなら列を足すだけで拡張できます。逆に、専用の入力フォームを作り込むと、項目の変更が面倒になります。最初はシンプルな表で始めるのが無難です。

工程3:集計の形式を固定する

毎月違う切り口で集計すると、そのたびに作業が発生します。形式を決めてしまえば、数字を入れ替えるだけになります。

推奨する集計項目は3つだけです。掲載件数、媒体の内訳、競合との比較。これ以上増やすと、作る側も読む側も負担になります。

件数は前月と並べる

単月の数字だけでは、多いのか少ないのか判断できません。前月と前年同月を並べると、それだけで意味を持ちます。

競合の件数も一緒に出す

自社の件数だけを報告すると、評価の基準が曖昧になります。主要な競合2〜3社の件数を並べると、相対的な立ち位置が伝わります。

チームで競合情報を回す運用フロー。通知の受け取り、一次確認、社内共有、月次の振り返りの4工程と、それぞれの担当と頻度が示されている。
図:情報を個人技にしないための、チーム運用の型。

工程4:レポートの型

報告資料は、次の構成にすると1時間で書けて、しかも読まれます。1ページに収めるのが目安です。

  1. 1サマリー:今月の要点を3行(件数、変化、注目点)
  2. 2掲載実績:件数の推移と、主要な掲載を3件(タイトルとリンク)
  3. 3競合の動き:注目すべき発表を2〜3件、それぞれ1行の見立て付き
  4. 4気づき:今月見えてきた傾向を1〜2行
  5. 5来月の方針:やることを1〜2行

網羅的な一覧は添付にして、本文には載せません。読む側が必要とするのは全件リストではなく、判断に使える要点です。全件リストを本文に置くと、要点が埋もれます。

ポイント

レポートは「作業の証明」ではなく「判断の材料」です。件数を積み上げて努力を示すより、3件に絞って影響を書くほうが読まれますし、次のアクションにもつながります。

報告先によって中身を変える

同じ月次レポートでも、誰に出すかで必要な情報は違います。1つの資料で全員を満たそうとすると、結果として誰にも刺さらない資料になります。

報告先知りたいこと載せるもの
経営層投資に見合っているか、市場で不利になっていないか件数の推移、競合との比較、注目すべき変化1件
営業商談で使える材料はあるか競合の新機能・事例、自社の掲載記事のリンク
プロダクト競合との機能差はどうか競合の機能追加、価格改定の情報
投資家市場環境と自社の立ち位置市場の変化1〜2行、自社の露出の推移
全員に同じ資料を配るより、要点を切り出して渡すほうが読まれる。

本体は1つ、切り出しは1行ずつ

レポート本体は1つ作り、そこから各部門に必要な部分を1〜2行で切り出して共有チャンネルに投げる。この形なら、作成の手間を増やさずに読まれる確率を上げられます。

切り出しの文面に凝る必要はありません。「営業向け:競合A社が◯◯機能を追加。商談で聞かれたら△△と答えてください」程度で十分に機能します。

ツール選びで見るべき機能

レポート作成の負担を減らす目的でツールを選ぶなら、確認すべきは次の4点です。

機能なぜ必要か優先度
自社名と競合名を同じ画面で管理できる月末に2か所から集める手間が消える
クリップ・保存機能日々の判断をそのまま素材にできる
CSVなどの書き出し転記作業がなくなる
集計・グラフ表示件数の推移をそのまま資料に使える
自動レポート生成あれば便利だが、形式が合わないことも多い
料金・提供内容は2026年7月時点で各社が公開している情報をもとにした目安です。最新の条件は各サービスの公式ページで確認してください。

自動レポート生成の優先度が低いのは、出力される形式が自社の報告要件に合わないことが多いためです。書き出しさえできれば、あとは自分の型に流し込むほうが早いことがほとんどです。

レポート作成を楽にするための確認

  • 月末に探し直す作業をなくし、日次で受け取る仕組みがある
  • 自社名と競合名を同じ仕組みで管理している
  • 気づいたその場でクリップ・保存する運用にしている
  • 書き出し機能を使い、転記をやめている
  • 集計項目を3つに固定している
  • レポートの型を決めて、毎月同じ構成で書いている
  • 全件リストは添付に回し、本文は要点だけにしている

レポート作成を1時間に収める手順

日々のクリップができている前提で、月末の作業手順を具体的に書きます。慣れれば1時間で終わります。

  1. 1ツールから当月分を書き出す(5分)
  2. 2書き出したデータに「種別」と「ひとこと」の列を足す(15分)
  3. 3件数を集計し、前月と並べる(10分)
  4. 4主要な掲載3件と、競合の動き2件を選ぶ(10分)
  5. 5サマリー3行と、気づき・来月の方針を書く(15分)
  6. 6各部門向けの切り出しを1〜2行ずつ書いて共有する(5分)

この手順で時間がかかるのは、2番目と5番目です。前者は全件に書く必要はなく、レポートに載せる5件程度だけで足ります。後者は、書き出しに悩む時間を減らすために、毎月同じ問いに答える形にしておくと速くなります。

たとえば「今月いちばん影響が大きかった変化は何か」「先月と比べて何が変わったか」「来月やることを1つ挙げるなら」——この3問に答えれば、サマリーと気づきと方針が埋まります。

まとめ:月末の作業ではなく、日々の仕組みで決まる

広報レポートの作成時間を決めているのは、月末の書き方ではなく日々の情報の受け取り方です。毎朝5分のクリップを続けていれば、月末の作業は集計と執筆の1時間半程度に収まります。

そのうえで、レポートの型を固定し、件数より要点を伝える構成にする。この2つで、作る負担と読まれる度合いの両方が改善します。ひとり体制での回し方は広報ひとり体制の情報収集ツール、掲載の追い方は自社・競合の掲載記事をまとめて追う方法にまとめています。

よくある質問

Q. 広告換算値は載せるべきですか?

A. 報告先が求めているなら載せますが、指標としての妥当性には議論があります。数字を出すことが目的化しやすいので、掲載の質や文脈を言葉で補うことをおすすめします。求められていないなら、無理に算出する必要はありません。

Q. レポートが読まれている実感がありません。

A. 分量が多すぎる可能性があります。1ページに絞り、要点を3行のサマリーで冒頭に置いてください。あわせて、報告先が何を知りたいのかを一度聞いてみると、載せるべき項目が絞れます。

Q. 競合の件数を出すと、比較されて不利になりませんか?

A. 件数の多寡だけで評価される状況なら、その前提を先に共有しておくべきです。予算や体制が違えば件数も違います。数字を出したうえで、「うちは件数より質を取る方針」といった方針の説明を添えると、健全な議論になります。

Q. レポート作成を自動化しているツールに任せきりにできますか?

A. 件数の集計までは任せられますが、「その変化が自社にとって何を意味するか」は人が書く必要があります。自動生成されたレポートをそのまま提出すると、数字は正確でも判断材料になりません。集計は自動、考察は人、という分担が現実的です。

Q. レポートに載せる競合は何社にすべきですか?

A. 2〜3社が適量です。多すぎると資料が長くなり、読む側が要点を掴めません。最も意識している競合と、直近で動きがあった1社を選ぶ形にすると、毎月の顔ぶれが自然に入れ替わって実態を反映できます。

Q. レポートの頻度は月1回で十分ですか?

A. 多くの場合は十分です。週次にすると作成負担が4倍になる一方、判断に使える情報量はそれほど増えません。大きな発表があった月だけ臨時で追加する、という運用のほうが現実的です。

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